どうも、2023年に某米袋メーカーの白石社長とコラボして以来、米袋の魅力に引き込まれています、片岡商店の片岡勧です。
業務用の米袋は、30kgのお米を詰め込んでも破れない耐久性を備えています。実際、石を米袋バッグに満載した状態で地面に叩きつけてみましたが、ご覧の通りまったく壊れません。
紙でできているにも関わらず、なぜここまで頑丈なのでしょうか?
今回は科学的アプローチでその秘密に迫ってみます。
米袋が頑丈な2つの理由
米袋メーカー シコー株式会社 の白石社長によると、米袋が頑丈な理由は下記2点。
①3枚重ねているから
米袋を分解すると、紙が3枚重ねになっている事がわかります。紙に限らず重ねれば重ねるほど頑丈になるのはイメージがつきやすいですね。
②繊維の長いバージンパルプを使っているから
米袋は木材を蒸解釜でほぐして製造された「バージンパルプ」で作られています。したがって繊維が長いという特徴があります。
一方再生紙は古紙をパルパーと呼ばれる巨大ミキサーに入れて作られるため、繊維が破断され短いです。
両者の製造プロセスをざっくり図解したものが下記。
そして繊維が長いほど、繊維同士が絡みやすくなり強固になる。これが米袋の強さにつながっているのです。
本当に米袋は繊維が長いのか?顕微鏡で観察
しかし実際にこの目で見ないと腹落ちできないのが片岡商店。
そこで米袋と新聞紙の破断面をデジタル顕微鏡で観察してみることにしました。
①米袋の破断面はささくれが長い
まずは米袋。ご覧の通り、剃り残したアゴ下の髭のごとく繊維が元気にワサワサ伸びています。
②再生紙はささくれが目立たない
次に新聞紙を見てみると、米袋よりも明らかに繊維が短いことが分かります。
ちなみに顕微鏡の倍率条件は揃えています。
③米袋vs再生紙 拡大して比較
さらに拡大比較してみると、両者の違いは明白。
どちらが絡みやすいか?と問われたら、米袋でしょう。
耐水性を検証してみた。
次に耐水性について実験してみました。一般的に紙は濡れるとフニャフニャになってしまいますが米袋は如何に?
なんと重さ約10kgを入れたうえで濡らしても問題ありませんでした。これも長繊維構造の恩恵なのでしょうか。
米袋は植木鉢になるのか?
耐水性があることから、米袋を植木鉢にできないかと思い立ち、土を入れ紫バジル苗を植えてみました。
排水性・通気性もあるので鉢に最適なのではとウキウキしながら水やりをしていたのですが、入植から約10日後・・・
底が破れてしまいました・・・。
破断面を顕微鏡で観察
原因追及のため、もろくなった米袋の破断面を顕微鏡で観察してみると・・・
繊維が短くなり、元気なモサモサ感が消失していました。
セルロース分解が起こったのでは?
なぜ長かった繊維が短くなってしまったのか?
紙の繊維=セルロースという成分特性に着目して考えてみると、微生物によって分解された説が。
実際に壊れた米袋の底面を観察してみると、カビらしきものが付着。
以上の状況から鑑みると、
土の湿気が底面に溜まり続ける
⇒カビ発生
⇒腐敗
⇒セルロース繊維分解
⇒脆くなった
と考えられます。定期的に水やりをする植木鉢としての用途は難しそうです。
しかしポジティブに考えれば、土に還るエコ素材とも言えますね。
中東のラクダ飼料袋問題を解決できるかも
中東ではプラスチック製のラクダの飼料袋が砂漠に放置されて問題になっている模様。土に還る米袋はこの問題を解決できるかもしれません。
少し前、シコー株式会社https://t.co/dJLUe8MHEuの白石社長さん@Tadaomi19 が「米袋は製造のシーズンが限られていて、他に利用アイデアはないか。。」というツイートしたものが回ってきて、丁度、砂漠に残ったプラスチック製飼料袋のゴミ回収なんとかならんものか。。と思っていたところだったので、 https://t.co/ShCSjBMfMn
— はなもも(hanamomo) (@hanamomoact) March 6, 2022
1,000度の熱鉄球に耐えることができるのか?
さらに掘り下げて、灼熱鉄球で様々な耐久試験をされている #鉄球おじさん に米袋バッグをシゴイてもらいました。結果は・・・
1000℃の鉄球コラボ第四弾!
— 大阪染織機械株式会社【公式】 (@osakasenshoku) June 11, 2024
①1000℃の鉄球を株式会社片岡商店さん(@peterminced )
の米袋バッグに置いてみた実験🧪
②米袋バッグに水を入れ1000℃の鉄球を入れてみた実験🧪
2パターンをコーヒー飲みながらご視聴ください☕️#鉄球おじさん#米袋バック pic.twitter.com/0oaholGccV
燃えることは予測していましたが、ここまでキレイな燃えっぷりになるとは予想外・・・笑。
またこの実験には後半パートもあり、1:07~の水注入時には耐えてしまいました。
もしかしたら米袋で米が炊けてしまうかも!?
まとめ
3層構造&バージンパルプが強さの秘訣の米袋。
土に還る&安心して燃やせると環境負荷も低いため、米袋以外の用途活用余地が多分にありそう。
片岡商店ではこのおもしろ素材を使って鋭利商品開発中。ぜひ動向を注視頂ければ幸いです。
コメント