【図解】ファスナーが壊れる原因を解説

【顕微鏡で解析】ファスナーが固い原因は塩?徹底的に調べてみた。

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まいど!片岡商店です。スクールバッグ修理依頼が入りましたので、今回はその故障原因と対策についてご紹介致します。
(当社が納めているスクールバッグは3年間修理対応)

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【症例】ファスナーがガチガチに固まって動かない!

修理依頼品の症例は「ファスナーが固い・全く動かない

カチカチに固まってビクともしない・・・

具体的には、メインポケットやサイドポケットのファスナースライダー部分(開け閉めを行う部品)すべてが動かない状況。これではカバンとして十分に使えません。

しかし不思議なことにファスナー自体に破損はナッシング。

一般的にファスナーは曲線で負荷がかかる部分で故障が多いのですが、このトートバッグに使われているファスナーはすべて直線。過去の修理履歴を見てもファスナーに関する不具合は全くない。謎!

【原因】ファスナーを固めていたのは塩?

そこでスライダー部分に注目してみると、なにやら緑色のサビが。

緑青と思われます

さらにファスナーのかみ合う部分を観察すると、白い固形物が入ってました。

謎の白い粉末

一歩引いてトートバッグ外観を観察すると、至るとこに白い粉末が。おそらく塩を吹いたものと思われます。

今回のユーザー様は中学校2年生。修理依頼が来たのは12月。使用期間2年弱。
つまり2回の夏を経験しています。

おそらく・・・

  1. トートバッグの持ち手を伝って汗が落ちる
  2. ファスナーに徐々に塩分が含まれた汗が染みこむ
  3. 徐々に蓄積された結果、塩の結晶がファスナーを噛む

というプロセスを経てスライダー部分がガッチリ固まった と思われます。

【対策】塩の結晶を取り除く

原因が分かればそれを取り除くだけです。

熱湯に漬け込む

塩は水溶性ですので、ファスナー部分を熱湯に漬け込んでみました。

しかし結晶粒?が大きいのか、なかなかファスナーが動いてくれません。

固い結晶を掻き出す

次に目打ちで直接結晶を掻き出し。お湯につけて柔らかくなっていたこともあり、順調に取り出すことができました。

塩っぽい固形物

潤滑油を挿し込む

最後は潤滑油をスライダーやファスナー部に注入。時間をおいて浸透させた結果、ようやく動くように!

スライダーを動かしてみると、ファスナー部分にも白い固形物が表出。こちらもブラシをつかってキレイにしました。

合わせ目にぎっしり詰まった白い粉末

スライダー交換

なんとかスライダーは動くようにはなったのですが、どうも滑りが悪い。そこでスライダー自体を新品に交換したところ、大成功。快適に滑るようになりました。

取り除いた古いスライダーを分解したものがコチラ。

想像以上に腐食しておりました。どおりで滑りが悪いわけです。

塩が噛んでいたという想定でしたが、スライダー内部の腐食部分が、ファスナーと一体となり固着したというのが真相のようです。

【観察】本当に塩だったのか?光学顕微鏡を動員

しかし社内では「あれは本当に塩だったのか?」と疑問の声が。
長年の経験上、いくら新陳代謝の高い中学生といえど汗ですべてのファスナーがダメになる事例遭遇したことがなかったからです。

ひとまずスクールバッグは修理できたけれど真因が分からないのは気持ち悪い。そこで手持ちのデジタル顕微鏡で、スライダー腐食部分を観察してみることに。

最近の顕微鏡はPC接続でき使い勝手抜群です。

そして気になる腐食部分を拡大した画像がコチラ。

塩の結晶の基本形は正六面体なのですが、顕微鏡で観察された白い付着物もカクカクしており、類似性を感じます。

しかし、成分一致しているかどうかはこの画像だけでは分かりません。

うーんやはり原因を特定しきれないのは気持ち悪い!

【解析】東京都立産業技術研究センターに持ち込んでみた

どうしても科学的に特定したい探究心を制御できない私たちは、東京都江東区にある、「都立産業技術研究センター」に腐食したスライダーを持参。解析依頼してみました。

応対してくださったのは解析歴10年以上の担当者。これまでの経緯と腐食スライダーをお渡しして相談したところ

  • 数nm(ナノメートル)まで分析できる走査電子顕微鏡
  • 元素分布を分析できるエネルギー分散型分光器

を使って調べるのがオススメとのこと。ここまで来たら後に引けません!

解析料金はちょっと高かったデス・・・苦笑

白い粉末の正体が判明

約2週間後に届いた結果によると・・・
スライダー部分に付着していた白い粉末の正体は「白サビ」。またその周辺には塩素も検出されました。

【図解】スライダー腐食が進行した理由

成分解析の結果から、スライダー腐食原因を当社で推察・図解したものがコチラ。

一般的なスライダーは、亜鉛合金の表面に銅メッキ・クロムメッキが施されています。

ファスナー開閉摩擦等でキズが入ることで、メッキが剥離。

そこに塩分が含まれた液体が付着。

塩分は水に溶出すると、ナトリウムイオンと塩化物イオンに分離。

この塩化物イオンが金属表面をどんどん削り、サビの進行を促進。

結果、亜鉛からは白サビ銅からは緑青が発生。塩化物イオン同士が塩素として残留します。

白い粉末は塩ではありませんでしたが、今回の腐食に塩分が絡んでいた可能性が非常に高いことが分かりました。

【謎】塩分はどこからやってきたのか?

しかしまたしても疑問点が。

当初塩分の出自は手汗と考えていましたが、解析担当者曰く

手から出る発汗量は意外と少ない。額や背中など手以外の部分の方が多い」とのこと。

では塩分はどこからやってきたのでしょうか?

真相は具体的な使用状況をヒアリングしないと分かりません。が、スクールバッグ全体に塩らしきものが吹いていたことを鑑みると、海水 あるいは スープがスクールバッグ全体に降りかかったのかもしれません。

まとめ

今回の「ファスナーが固い現象」は俗に「塩噛み」と呼ばれる現象で、釣り人など海によく行かれる方が経験されます。

学校によっては臨海実習など海水に接する機会があります。実習中にバッグを海水で濡らす事がありましたらファスナーのスライダーを重点的に真水で洗い流すと良いでしょう。

このようにスクールバッグは3年間使われる特性から、想定外の不具合が発生します。

当社が納入したスクールバッグは買い替えがなるべく出ないよう責任を持ってアフターフォロー致しますので、不具合多数で困ってる先生方、お気軽にご相談ください。

今日の一句

”ファスナーに してはいけない 塩対応”

スクールバッグの事なら1897年創業 片岡商店へ

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